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行事開催報告

2026年8月14日

四百年前の「心」を歩くために~行幸行列参加者を対象に小笠原流礼法研修を開催しました

12月6日に開催する「寛永行幸四百年祭」行幸行列再現に向け、7月4日・5日の2日間、行列参加者を対象とした第1回礼法研修を開催しました。

講師を務めてくださったのは、小笠原流弓馬術礼法 若宗家・小笠原清基氏。寛永3年(1626)の後水尾天皇行幸にもゆかりの深い小笠原家は、鎌倉時代以来、武家礼法を伝えてきた家柄です。小笠原氏は、「四百年前の行幸にも小笠原家が関わらせていただいており、今回もこの歴史ある行列に携われることを大変光栄に思います」と語り、参加者へ向けて礼法の指導を行いました。

小笠原流弓馬術礼法 若宗家・小笠原清基氏
小笠原流弓馬術礼法 若宗家・小笠原清基氏

礼法とは、美しく見せるための技術ではない

研修で最初に教えられたのは、「正しい姿勢」。頭を無理に上げたり胸を張ったりするのではなく、首の後ろを自然に伸ばし、背骨の延長線上に頭を置くこと。肩の力を抜き、手は力まず、水をすくうような丸みを保ちながら添えること。一つひとつの動作には理由があります。

「日本のお辞儀は、頭を下げることではありません。腰から体を倒した結果として、頭が下がるのです。」

小笠原氏はそう説明し、形だけを真似るのではなく、人間の身体の構造に沿った自然な動きを何度も繰り返し伝えていきました。

また、呼吸と動きを一致させることも重要な教えの一つです。息を吸いながら身体を倒し、吐き、再び吸いながら起き上がる。参加者同士が向かい合って礼を交わす実習では、「相手と呼吸を合わせることで、初めて会う人とも自然に同じ所作になる」という小笠原流の考え方が紹介されました。

「静けさの中に動きがある」

立つ姿勢について、小笠原氏は「静中動(せいちゅうどう)」という言葉を紹介しました。静かに立っているように見えても、内面にはいつでも動ける緊張感がある。そのため、重心は踵だけに乗せず、いつでも歩き出せる位置に置くことが大切だといいます。歩き方の指導では、左右の足をまっすぐ運ぶことや、体の軸を保ったまま進むことなど、行列全体が美しく調和するための所作を丁寧に確認しました。

研修の最後、小笠原氏は参加者へ次のような思いを伝えました。

「この行列は、四百年前の人たちの姿だけではなく、その時代を生きた人々の考え方や心まで再現しようとするものです。歩き方や視線、所作まで含めて再現できれば、本当に歴史に残る行列になると思います。」

寛永行幸四百年祭が目指すのは、歴史衣装をまとったパレードではありません。四百年前の京都で大切にされていた礼節や人を敬う心を、参加者一人ひとりが身体で表現し、その精神を現代へ受け継ぐことです。

今後も複数回にわたる礼法研修などを重ねながら、12月6日の本番へ向けて準備を進めてまいります。四百年前の壮麗な行幸行列が、参加者の皆様の心とともによみがえるその日を、どうぞご期待ください。

撮影:バウプラス京都(株)