9月6日、金剛能楽堂にて「寛永行幸四百年祭記念能」を開催します。
本公演の中心となるのは、この日のために創作される新作能『寛永行幸』。後水尾天皇を金剛流若宗家・金剛龍謹氏、徳川家光を京観世林家十四世・林喜右衛門氏が勤め、流儀を越えて一つの舞台を創り上げます。さらに、寛永行幸でも上演された『猩々乱』(『乱』)のシテを金剛氏、林氏が同じ舞台で勤めます。
本公演では、さまざまな特典をつけた「正面席中央前方」(20万円)と「正面席前方」(7万円)をご用意しています。この二つの席には、舞台をより深く体験していただくための特典だけでなく、もう一つ、大切な意味があります。
それは、寛永行幸四百年祭という文化事業そのものを支えていただくことです。
四百年前の文化を、四百年後の私たちから未来へ
寛永行幸四百年祭は、一日限りの催しではありません。寛永行幸を起点として、能楽、茶の湯、和歌、工芸をはじめ、江戸時代初期の京都で花開いた文化をあらためて見つめ、その価値を次の世代へ伝えていくための文化事業です。
新作能をつくることも、行幸行列を再現することも、過去を懐かしむためではありません。四百年前から受け継がれてきた文化を、今を生きる私たちが受け取り、次の百年、さらにその先へ手渡していく。20万円席、7万円席のチケット代金の一部は、そのための大切な支援として、本事業の実施と文化継承の取り組みに活用されます。
舞台をご覧いただくことと、文化を支えていただくこと。
その二つを一つにした席です。
四百年前の「寛永行幸」を、観るだけでなく体験する
20万円の「正面席中央前方」では、舞台を正面中央の前方からご覧いただけることに加え、四百年祭をより深く体験していただく特典をご用意しています。なかでも大きな特典が、12月6日に行われる「行幸行列再現イベント」への参加です。
行幸行列への一般参加はすでに申し込みを終了しており、応募多数のため抽選となっています。しかし、20万円席をご購入いただいた方は、特典として行幸行列再現イベントへ1名様ご参加いただけます。
四百年前、後水尾天皇が御所から二条城へと向かった行幸。その歴史的な出来事を再現する行列に、今度は自ら参加する。9月6日に新作能『寛永行幸』を観て、12月6日にはその世界を実際に体験する。「観客」としてだけではなく、四百年祭をともにつくる一人として参加していただける特別な機会です。
行列への参加に代えて、特別観覧席へ2名様までご招待をお選びいただくこともできます。
さらに公演当日は、終演後に能舞台へ上がり、金剛氏、林氏との記念撮影を行っていただきます。
また、20万円席には、今回のために制作された特別記念扇もご用意しています。扇にあしらわれているのは「竹」。これは単なる意匠ではありません。寛永3年の行幸の際、二条城で催された和歌会では、烏丸光広が講師を務め、「竹、遐年を契る」を題として、後水尾天皇、徳川秀忠、徳川家光がそれぞれ和歌を詠みました。
竹のようにまっすぐな、泰平の世が末永く続くことへの願い。
四百年前に和歌へ託されたその思いを、寛永行幸四百年祭の文化監修を務めてくださっている近衞忠大氏(五摂家筆頭近衞家)デザインのもと現代の扇の意匠として蘇らせました。そして扇には、新作能『寛永行幸』で後水尾天皇を勤める金剛氏が「寛」、徳川家光を勤める林氏が「永」の文字をそれぞれ揮毫。両氏の直筆署名を添えた、本公演だけの特別な記念品です。
舞台の記憶とともに、四百年祭の精神をお手元に残していただければと思います。

文化を受け継ぐ、その一員として
7万円の「正面席前方」もまた、単に舞台を前方から鑑賞するための席ではありません。この席をお求めいただくことそのものが、寛永行幸四百年祭の理念に賛同し、文化を未来へ伝えていく活動を支えていただくことにつながります。
文化は、残そうと思うだけでは残りません。
舞台をつくる人がいて、演じる人がいて、研究し伝える人がいて、そして、その活動を支える人がいる。その積み重ねによって、四百年前の文化が今日まで伝えられてきました。
今回の四百年祭もまた、未来から振り返れば、その長い継承の途中にある一つの時間です。
新作能『寛永行幸』を間近でご覧いただくとともに、次の時代へ文化を手渡していく一員として、この事業にご参加いただきたい。
それが、20万円席、7万円席に込めた私たちの思いです。
四百年の志をその先の百年へ。
今回創作される新作能『寛永行幸』には、「百年後の五百年祭でも、再びこの作品を演じてもらいたい」という願いも込められています。
私たちが今つくっているものが、百年後にも残っているかもしれない。
そう考えると、寛永行幸四百年祭は、過去を記念するだけの催しではなく、未来へ文化を残すための出発点でもあります。
四百年前から受け継がれてきた文化を、四百年後の京都から、さらにその先へ。
9月6日の舞台を、ぜひその一員として見届け、支えていただけましたら幸いです。
寛永行幸四百年祭記念能
日時:2026年9月6日(日)14時開演(開場は13時30分予定)
会場:金剛能楽堂(京都市上京区烏丸通中立売上ル)